肱川河畔に佇む、
数寄屋造りの傑作
山々の間を縫って、大洲盆地にたどり着く肱川。
その肱川河畔で随一の景勝地は、
風の穏やかな日に、新緑や紅葉を水鏡のように映す。
「臥龍淵」と名付けられた景勝地は、
大洲藩時代から殿様たちが愛でた景色だ。
その後、木蝋貿易で富を得た河内寅次郎は、
十年余りの歳月をかけて、
この地に臥龍山荘を築造した。
茶の湯文化を守るために作られた山荘は、
日本の美が宿る数寄屋建築の傑作となった。
建築美
材料の精選から着想の秀抜、
名工の卓越した技術が相まって、
山荘は形を成していった。
自然
時とともに移りゆく光と影、
時季によって変わりゆく色彩と香り。
五感を使って密かに心を躍らせる。
静寂と
美しさと
山荘の
春夏秋冬
苔むした新緑の庭に誘われ、
ふっくらとした足裏の感触にふと春の息吹を感じる。
思いがけず落とした目線の先に添えられた一輪の花、
客人を迎え入れんとするおもてなしの心。
鳥のさえずりが賑やかに響きあう。
自然と調和する建築にふれたなら、
脈々と受け継がれてきた文化が流れ込んでくる。
自然に溶け込むように建てられた山荘。
岩肌から乗り出した大胆なつくりは
今にも清流肱川を漕ぎ出す舟のごとく。
縹色の流れはこの地に多くのものを運んできた。
だからこそここに在る、
暑さを知恵と風流で凌ぐ
先人の技巧の賜。
ふと目を奪う、
燃ゆる紅葉のなんと鮮やかなことか。
重なり合う木々の合間より、
零れ落ちる陽の光はやわらかい。
日が傾くにつれ浮き上がる
欄間や障子戸に潜む技巧の数々に、
じっくりと向き合いたい。
絶え間なく降る雪は山荘に静寂をもたらす。
吐く息も白く、肺まで凍てつく厳寒のなか、
じっと佇む姿は水墨画のようにも見えた。
閑寂さのなかに幾度の季節を越え、
培われたゆるぎない芯の強さがある。
古と今が交わり合う山荘にて
自分自身に問いかける。
日本の
奥深さを
教わる

[ 営業時間 ]
9:00~17:00 (札止16:30)
年中無休

[ 観覧料 ]
大人 Adults  ¥550
小人 Children ¥220(中学生以下)

共通券(臥龍山荘・大洲城)
大人 Adults  ¥880
小人 Children ¥330(中学生以下)